
転職して新しい会社に入社したものの、任された仕事内容が求人票に書いてあったものと違う…辞めたい。



転職したけど任されたのは求人票に書いてあった職種じゃなかった…やりたくない仕事ばっかり。辛い。



求人票には残業20時間と書いてあったのに、実際働いてみたらその倍の時間残業している。
今の会社に転職する前に見ていた求人票の内容と、実際の仕事内容が違っていたら辞めたいと感じるのも無理はありません。
自分が想定していた仕事とは程遠い仕事を任せられたり、残業が想像以上に多かったりしたら、誰しも悩みますよね。我慢するのも辛いはずです。
そんな状況に陥ってしまった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
そこで本記事では、求人票の情報と実際の仕事内容が違っていて、辞めたくなっている人に向けて、入社前後でのギャップが生じる理由やその対処法についてお伝えしていきます!
【なぜ?】求人票の情報と入社後の仕事内容に違いが生じるワケ


そもそも、転職サイトやハローワーク等で事前に見ていた求人票の情報と、入社後の仕事内容に違いが生じる理由は何なのでしょうか。
大きな原因としては次の2つが考えられます。
- 求人票には良いことばかり書かれているから
- 求人票の内容はあくまで「見込み」だから
順に解説していきます。
求人票には良いことばかりが書かれているから
求人票や求人広告は、企業が応募者に向けて自社の良い部分やメリットをアピールするものです。
そのため、企業の採用担当者は悪い部分を積極的に書かず、魅力的な仕事内容や待遇・制度を中心に記載しています。
例えば、求人票に自分の理想の仕事内容が書かれていても、実はその仕事をするためには数年の下積み経験が必要で、ごく一部の優秀な人限定だった、なんてこともあります。
求人票記載の「良い面」だけに着目してしまうことも、入社後にギャップを感じる一大要因です。
求人票の内容はあくまで「見込み」だから
求人票に書かれている仕事内容や各種条件はあくまでも「見込み」です。求人票には全ての情報を記載することは難しいので、ざっくりとした粒度で記載されていることも多いです。
採用担当者からすると「だいたいこんな条件で募集して、実際に任せる仕事内容は職務経歴書や面接を通して判断しよう」という考えですので、求人票の内容がそのまま入社後適用されるということではありません。
最終的な仕事内容は、採用担当者が選考を通して適性を見極めたうえで通知されるのです。
そのため、求人票の内容を鵜呑みにしてしまい、面接時に採用担当者に詳細を確認していない場合は、入社後にギャップを感じてしまう可能性が高くなります。
求人票の情報と入社後の仕事内容が違うことは違法じゃないの?


ここまで、求人票には良いことばかりの見込みの情報しか書かれていないとお伝えしました。



そんなの詐欺じゃないか!!
と思われた方もいると思いますが、実際のところ新たに入社した会社での仕事内容や条件が、求人票の内容と違う点について違法性はあるのでしょうか?
求人票の情報と実際の仕事内容が違っても違法とは言い難い
実は、求人票と実際の仕事内容が異なっていても、基本的には違法とは言い難いです。
なぜなら、求人票はあくまで直接的に労働契約を結ぶものではなく「労働契約の申込を誘引するもの」だからです。
と言われてもイマイチ分かりにくいかと思うので分かりやすくお伝えすると、企業が出している求人票や求人広告は、言わば「チラシ」や「宣伝広告」と同様です。
例えば動画サービスの広告があって、「いいな」と思ってもその時点で料金の支払い(契約)が行われる訳ではないですよね。その後お問い合わせをし、クレジットカード情報を入力して申し込むボタンを押すことで初めて支払い(契約)となるはずです。
同様に、転職の場合も求人票の内容を見て「いいな」と思い応募をして、面接等で説明を聞いてから最終的に正式な文書にサインをして初めて労働契約となります。
契約のための文書であれば話は変わってきますが、求人票はその手前のものなので、違っていても違法とは言い難いのです。
「労働条件通知書」の内容と異なる場合には違法
求人票は違法になりにくい一方、最終的に労働契約を結ぶときに用いる「労働条件通知書」の内容と異なる場合は違法の可能性が高いでしょう。
労働基準法第15条1項により、企業は労働者への労働条件を明示することが義務付けられています。
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
労働基準法|e-Gov法令検索
そのため、企業は「労働条件通知書」にて仕事内容や条件を労働者に通知する必要がありますが、労働基準法第15条2・3項にて、通知書の内容が事実と違っていた場合について記載があります。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労働基準法|e-Gov法令検索
つまり、「労働条件通知書」記載の内容と実際の仕事内容・条件が異なる場合は、労働者は一方的に即時退職でき、かつ実家に帰る場合の旅費を会社に負担してもらえるのです。
求人票の情報と入社後の仕事内容が違っていて辞めたい場合の対処法


では、求人票や労働条件通知書の内容と入社後の仕事内容が違っていて辞めたい場合、どのように対処するのが一番良いのでしょうか。
ズバリ言うと、辞めるより先に今の会社で解決する道を探ることが一番です。
辞めてしまうとその後また一から仕事探しをしなければなりませんし、仕事を見つけるまでの生活も苦しくなってしまいます。
少なくともどこか魅力を感じて入社したと思うので、単に事前に聞いていた仕事内容が違うからといってすぐに辞めてしまうのはもったいないです。
そういった意味で、今の状況を少しでも良くするために、まずは上司に相談してみましょう。
入社前後のギャップが生じている原因として、採用担当者と上司の連携が上手くいっていない場合や、勘違いされている場合もあります。
求人票や労働条件通知書を改めて上司に提示し、仕事内容が事前に聞いていた情報と違っていて、ギャップが生じていることを正直に伝えましょう。
上司に伝えるときのコツ
求人票の内容と実際の仕事内容が違うことを上司に伝える際は、単に事実を伝えるだけではなく、自分がどんな仕事内容を想像していたのかを具体的に伝えることが重要です。
以下のような順番で伝えると良いでしょう。
- 【状況の共有】「今の仕事内容が想像していたものと違うので戸惑っている」
- 【理由の説明】「入社前に見ていた求人票には○○のように記載してあり、○○ような仕事内容を期待していた」
- 【希望を伝える】自分としては求人票に記載のある○○の仕事がやりたいと思っている。○○の仕事をできる見込みはあるのか」
それでも解決しない場合はどうする?


勇気を振り絞って上司に言ってみたものの、
- 「文句を言わずに今の仕事をやりなさい」
- 「仕事内容が変わるなんてよくあることだから我慢しな」
- 「○○の仕事を任せるのは5年後くらいかな~(笑)」
など、上司が真摯に向き合ってくれず、事前に聞いていた仕事をできる見込みがない場合はどうすれば良いのでしょうか。
その時の対応方法は主に次の3つです。
- 上司の上司に相談する
- 採用担当者に相談する
- 退職する
それぞれご説明していきます。
1. 上司の上司に相談する
上司でダメなら、上司の上司に相談してみましょう。課長でダメなら部長に、部長でダメなら本部長に言うイメージです。
中途採用が多い会社であれば、色々な考え方を持った社員がいるはずなので、上司に相談してダメだった場合でも、その上司が手厚く対応してくれる場合もあります。
2. 採用担当者に相談する
人事の採用担当者にも積極的に相談してみましょう。
採用担当からすると、あなたの採用にもコストがかかっているので、退職されることはなんとしてでも避けたいはずです。そのため、人事担当者から上司に相談してくれるはずです。
3. 退職する
手当たり次第相談してみたものの、何も対応してくれない場合は、退職してしまうのも手です。
先述したように、仮に労働条件通知書の内容と実際の仕事内容が違っていた場合は、会社に引き留められても即時退職することが可能です。(労働基準法第15条2・3項)
また、仮に労働条件通知書の内容は正しく、自分の確認不足だった場合でも、正社員であれば2週間前に退職を申し出れば退職できます。(民法第627条)
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法|e-Gov法令検索
いずれにせよ、自分の希望通りの仕事ができる見込みがなく、ストレスを抱え続けるようであれば、退職することがベストな選択かもしれません。
もし「退職したいけど勇気が出ない」ということであれば、自分の代わりに退職手続きを行ってくれる退職代行サービスの活用も検討しましょう。
退職代行サービスは色々なものがありますが、低費用で違法性がなく確実に辞めるのであれば【退職代行ガーディアン】がおすすめ。
ガーディアンは労働組合法人が運営しており、会社や上司に連絡することなく即日退職が可能です。本当に今の会社で続けることが嫌なら、ぜひ活用しましょう。
退職する場合、お金がない人はその後の生活に困るリスクがあります。
「会社を辞めたいけどお金がない」という人は以下記事もご一読ください。


もう後悔しない!次に転職するときに意識すべきポイント


ここまで、求人票の情報と入社後の仕事内容が違っている場合の対処法についてお伝えしてきました。
会社に相談して解決する方もいるでしょうし、解決する見込みがなく退職して新たな仕事を探す方もいるでしょう。
いずれにせよ、次回転職する場合にも同様のケースが発生する可能性があるので、転職活動時は認識の齟齬(そご)がないように注意しなければなりません。
ここでは、同じように後悔しないために、次回転職活動時に意識すべきポイントについてお伝えしていきます。
求人票に記載の内容に惑わされない
なにより、求人票の内容に惑わされないことが大切です。
先ほどもお伝えしましたが、求人票には企業がアピールしたい良い部分やメリットが中心に書かれています。かつ、求人票の内容は「見込み」であり、実際の仕事内容や条件は面接後に決まります。
そのため、求人票の情報を鵜呑みにしてしまうと、「こんなはずではなかった…」と後悔することになりかねません。
求人票の情報だけで判断せず、企業の口コミサイト・社員のSNS・公式HP内の採用情報ページなど、様々な情報を組み合わせて総合的に判断することが重要です。
そして、分からない点や曖昧な点はそのままにせず、面談や面接で詳しく確認しましょう。
転職エージェントを利用する
もう一つ、入社前後のギャップで後悔しないための方法が、転職エージェントを利用することです。
転職エージェントは、あなたの代わりに企業の採用担当者とやり取りをしてくれます。採用担当者には聞きにくい質問も、キャリアアドバイザーに経由なら気にせず聞くことができるので、入社前の懸念点をできるだけ潰すことが可能です。
筆者も過去に転職エージェントを利用し、入社前に担当キャリアカウンセラーに質問しまくった結果、入社後の悪いギャップは発生しませんでした。
また、さまざまな企業に精通したエージェントが、求人票からでは読み取れない情報も共有してくれることもあるので、入社前の情報収集の質も向上します。
転職する際は転職エージェントの利用がおすすめです。
まとめ
ここまで、仕事内容が求人票と違っていて辞めたいときにどうすればよいかを解説してきました。
本記事の内容をまとめると次のとおりです。
- 必ずしも求人票の内容=入社後の内容とは限らない
- 求人票の内容を実際の仕事が違っていても違法とは言い難いが、「労働条件通知書」と違う場合は違法であり、即時退職可能
- 辞めるより前に、解決できないかを考える。まずは上司に相談してみる
- 上司に相談してダメなら、上司の上司、採用担当者などに相談してみる
- それでもダメなら退職する
入社後のギャップやミスマッチは、本来企業と労働者双方にとっても辛いことです。
もしあなたが入社前後のギャップを理由に退職を考えているなら、まずは上司や採用担当者にしっかり相談をして、解決できないかを考えましょう。解決できれば辞めずに済む話ですもんね。
この記事を読んでいるあなたがより良い方向に進むことを祈っています。
最後までご覧いただきありがとうございました!